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「もう日が暮れるね。では……えっと」
「ああ、梶原です」
あれから数分。
私がお先真っ暗なこれからを案じている間に、この人は、甘味の事しか言ってなかった。
(甘味馬鹿………)
平成で言うオトメンですか。
「じゃあ、梶原君。家まで送ってあげるよ」
「あ、あの。そのことなんですが…………私、勘当されて家に帰れないんです」
「勘当されて、家に帰れない!?」
「は、はい。お恥ずかしいことに」
先程の時間に考えた、家に帰れない理由を言うと、青年は驚いた風に目を見開いた。
「じゃあ、その珍妙な格好もそれに関係が?」
「ええ。ちょっと色々ありまして……」
(ちょっとどころか、大変色々あったんですけどね)
真っ赤な嘘に心が痛むが、タイムスリップしましたなんて言えば疑われるだけ。
それならいっそ、勘当されて行き場所がない子供を演じた方がましだ。
(まあ、タイムスリップの事を説明するのが面倒臭いだけですけど)
因みに、割合は前者31%、後者68%です。
あ、残り1%は、もちろん罪悪感ですよ。
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