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「たまには種術の稽古でもしたらどうですか?」
副隊長のスピカが、警邏から戻って来る。
「スピカ副は、剣の稽古をするべきです」
アクスは振りはじめた剣をスピカに向けた。
「僕は、どっちかというと拳銃ですから」
スーツの下に取り付けたフォルスターを示してスピカは言った。
「しかし、弾は一発だけでしょう。厄除けにしかなりませんよ?」
「一発あればいいですよ。それよりも、剣の大会があると聞きましたよ。当然、出場なさるんですよね」
「一週間後に広場ですよね。聞いていますよ。登録も終えていますがなにか、問題でも?」
「そうですか。カリンさんにお買い物に誘わせてしまいまして、事務所の留守番を代わっていただけないかな…なんっ」
アクスは、スピカの言葉が終わらない内に剣を突き付けて寸止めした。
「お断りします」
「あ、やっぱりですか。聞いてみただけです」
スピカが溜息混じりに引き下がる。
「カリンさんは剣術大会のことを知らなかったのでしょうが俺は大会に出ます。そこで栄誉を勝ち取り、大陸への切符をもらうんです。エリトートコースに戻るために!」
「わかりました。わかっています。巡査に頼みに行きます」
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