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「しかし、カリンさんからの頼み事。剣でひと勝負行きましょう」
アクスは、踵を返したスピカに言った。
「僕はまだ、死にたくありません」
「殺しませんよ。殺す気でやりますけど」
「剣は苦手です」
「弱虫はカリンさんに嫌われる」
「……そんなことで嫌われるんですか?」
「間違えました。俺に負けて嫌われてしまえ」
アクスは、笑いながら剣を振りに戻った。
「どうして、そう意地悪なんですか。ヒルさんが亡くなって相手が居ないのはわかりますが、僕では到底相手になりません。なんならカプリさんを呼んできますよ」
「いいですよ。別に。ひとりで稽古しますから」
アクスは剣に集中する。困り果てたスピカはいつの間にか消えていた。
「…だから、種術ばかり特化した人々はつまらない」
アクスは小さく呟く。
剣技を一通り終え、彼は種術の基礎となる明かりを生み出した。
アーティストが基本として習うのは、光、炎、水の三種を具現化することであった。
「ライトアップ」
呪文の詠唱を省き、短縮で想像を具現化させる。短い詞は鍵詞と称され、その表現方法や長さは個人で違った。また、短ければ短いほどその人間の技術が高いとされる。
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