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よし子なのか、果たしてそうではないのか、頭の中で考えを巡らしていたら、またのそりと棚の影から現れた。
??「特別にあんたにこれを貸してあげるわいな」
そう言ってぬっと目の前にだされたのはプレ○テのソフトだった。
キハチ「・・え?貸してくれるんですか??」
状況が飲み込めず聞き返した。
??「あんたは一回これでもやって、人生の有り難みを知ったらええ」
老婆なりの優しさなのだろうか。
少なくとも貸してくれるなら断る理由もない。
そして何より断るのもめんどくさい。
キハチ「ありがとうございます。」
老婆は少しだけ満足げな顔をして、
??「それじゃ、おわったら返しにおいで」
そう言ってきびすを返そうとした。
しまった、名前を聞きそびれた!っと思った瞬間、それは現れた。
よし子
後ろを向いた白無地Tの背中に習字の文字で大きく書かれていたのだった。
そう、よし子だった。
このばあさんはよし子だった。
おそらくよし子だろうと勝手に確信した。
よし子は棚の奥へと姿を消した。
キハチは胸のつかえがとれ、最高にスッキリした気分になり、店を後にした。
もう借りたゲームなどどうでもいい。
よし子の偉大な背中を思い返しつつ、軽快な足取りで家に向かったのだった。
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