1人が本棚に入れています
本棚に追加
いや、正確には四人。
悠斗と行動を共にしていたリナリアが、沈黙に耐えられなくなってように口を開いた。
リナリア「その子、悠斗さんの右目におびえちゃったみたいです」
悠斗「え…?」
リナリア「えっと、私が動物と話せることは悠斗さんもご存知ですよね?…その子、なんだかとても動物に近いみたいで、悠斗さんの魔眼を、本能的に危険だと感じているみたいなんです」
確かに、自分は動物に避けられることがよくある。
…それに相手は『人食い狼』。動物に近いというのも何となくうなずける気がした。
そこまで考えると、悠斗はひょいっと右目をつむり、先ほどの無礼千万な言動などなかったかのような笑顔でギロに話しかけた。
悠斗「えっと…ギロ?君。これなら恐くないかな?」
その言葉を聞き、ギロは恐る恐るといった様子でようやく顔をあげる。
その目には、今にもこぼれそうなほど涙がっ溜まっていた。
………ほんと情けないな、こいつ。
ギロ「ん…」
悠斗「よし。じゃあ改めて。初めまして、俺は悠斗。よろしくな!…と、こっちは……」
リナリア「高等部一年 支援科のリナリアです。よろしくお願いします。」
ギロ「ギロ…よろしく………」
こうして、狼を擬す少年には新たに『ヘタレ』という二つ名がついたのであった。
完。
最初のコメントを投稿しよう!