ゴーストタウンではよくあること。

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間。 シンと空気語と凍りついたように動かない二つの人影。 その沈黙の時を引き裂いたのは、ギロの素っ頓狂な悲鳴だった。 「にぎゃぁ」と、どこの珍生物かと問いたくなるような叫び声をあげ、捕食者を自負する罪人科の人食いは情けなく唯濡の背中に半ば抱きつくようにして、その角から現れた人影から隠れた。 間。 先ほどとは別の意味を含んだ沈黙。 …つーか街に入る前最上級のドヤ顔で、「唯濡おねいちゃんはおれが守る」とか「捕食者としての矜持」とか言ってたのに、その舌の根も乾かないうちにこれって…… この、どうしようもなく生ぬるい空気を打ち破ったのは、角から現れた青年だった。 青年は、唯濡の首ぎりぎりに構えていた刀を下ろし、おもむろに頭を下げる。 ???「とりあえず、ごめん唯濡ちゃん…」 その言葉を聞いて、唯濡は少しだけ苦笑いをした。 唯濡「あぁ、うん。大丈夫。場所が場所だものね。警戒するのは当然だよ。気にしないで。」 ???「いや、どんな事情があったにせよ、女の子に手ぇあげたんだから、ちゃんと謝らせて。」 唯濡「…悠斗君って律儀だね」 悠斗「そうかな?普通だと思うけど…」 悠斗はそこまで言葉を紡ぐと、視線を唯濡の背後下方に向けた。 悠斗「ところで……」 唯濡「うん。私も今どうしようか考えてたところ」 …二人が穏やかな会話初めてもなお、ギロは唯濡の背にぴったりと張り付いたまま離れようとしない。 さてはこいつ、自分のビビり加減が不甲斐なくて、恥ずかしさのあまり顔をあげられないんじゃ…と、唯濡は一瞬考えたが、それはどうやら違うようだ。 その証拠に、背中に感じる温もりは、小刻みに震えていた。 唯濡「…どうしたの?ギロ君」 ギロ「…だ………」 唯濡「え?」 ギロ「右目…そのおにいちゃんの右目…やだ」 間。 実に本日三度目の凍てついた空気が、三人を包んだ。 ???「………あのぅ…」
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