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「へぇ…乃愛ちゃんは土方さんと斎藤さんが好きなんだ」
椿は言った。
「はい。お二人とも素敵ですよねぇ…
私、お二人に会うためにもう死に物狂いで働いてお金貯めてここに来たんです!!」
すっかり恋する乙女になっている乃愛。
しかし……
今から行く幕末は、実は椿が最初に訪れたときに歴史を変えてしまったせいか、酷く腐っていた。
椿にとっては嬉しいのだが、斎藤と土方に対して恋愛感情を抱いている乃愛にとっては辛い現実が待ち受けているかもしれない。
「椿さん…どうしたんですか?」
複雑な表情を浮かべる椿に、乃愛は不思議そうに言った。
「あッ!!?何でもないよ!それより…そろそろ幕末に着く筈だから、その辺の何かに掴まってね」
「その辺の何かって…」
乃愛は取りあえず、つり輪に掴まろうとしたが手が届かなかった。
弾みで転んでしまう。
「乃愛ちゃん…大丈夫?」
天然…なのかな?
椿は思わず笑ってしまった。
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