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ところがッ!!!
なかなかバスは到着しない。
今までだと、とっくに到着している時間だ。
(しまった…)
椿は思った。
思い当たる節があったのだ。
その思いは表情にも現れていて……
「どうかしたんですか…?」
怪訝な顔で、乃愛が訪ねた。
「大事なことを聞き忘れていたの」
「大事なことなら忘れないでくださいッ!!!あれ程大丈夫なのか確認したのに!」
乃愛が叫ぶ。
「ごめんなさい…幕末に到着しないことからして聞くまでもないんだけれど…」
「取りあえず聞いてくださいッ!!!」
幕末へ辿り着けないかもしれないという苛立ちに、乃愛の声が荒さを増す。
「乃愛ちゃんは…その…腐女子…ですか?」
そうッ!!!
幕末ツアー参加への条件とは、腐女子であることだったのだッ!!!
簡単に説明すると、古びたバスに詰め込まれた大量の単3電池と、二人以上の腐った妄想力とでタイムトラベルを可能としているのだ。
何故…?
それは素人の作り話だから…
「そ…それは」
乃愛は口ごもった。
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