prolog

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手が魔物の胴体に触れる。一瞬ザラザラとした感触が指先から伝達されるが、勢いのまま、ありったけを込めて魔物の体を押す。 すると、魔物は常識から逸脱した速度で、後方へ吹き飛んでいく。 まるでバットで弾かれた野球ボールのように、高速ライナーで……。 「……なんだこの有り得ない力は。俺って一体……」 思わず自分の手を見る俺。別段変わった様子は見受けられない。 普通に人がよろめくか、尻餅をつく程度の力で押した筈が、こんな爆発的な力で相手が吹き飛んだのだ。 疑問符が頭に浮かんでも当然の事だろうと言える。 我に帰り、はっと気が焦って前方を向くが、魔物達の姿はもうなかった。
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