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突然、誰かに背中を押された。
「…………っ」
息がつまり、へ?と声を漏らすことも出来ないまま前のめりに勢いよく倒れた。そして床に突っ込む。
鼻、打った……。
「て、え?柔らか…」
受け身も取れずに倒れたわりにはそんなに痛くない。そう思って床を見たけれど、暗くて全く見えなかった。体を起こそうと手を付いて初めて、座布団のようなものが置いてあると分かる。
……誰がこんなこと?
転ばせたくせに、アフターケアは万全ですか。もしかして隣には救急箱設置してあるんですか。
(というかポマードの使い方を間違えてただけで突き飛ばすってどういうことなの!!
酷い!スパルタ教育か!)
一度憤怒して隣にちらりと視線を移してみたが、やっぱり目は闇に慣れていなくて何も見えなかった。
なんでこんなに暗いのこの部屋。
「うぅ…さっさと出よう……」
暗いとこは苦手だし。
音だけ聞こえる雷が余計怖い。
四つん這いの体を起こして、耳を塞ぎながらさあ出ましょうかと方向転換する寸前、ドアがガチャンと嫌な音を立てた。
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