Rapunzel

8/14
前へ
/20ページ
次へ
突然、誰かに背中を押された。 「…………っ」 息がつまり、へ?と声を漏らすことも出来ないまま前のめりに勢いよく倒れた。そして床に突っ込む。 鼻、打った……。 「て、え?柔らか…」 受け身も取れずに倒れたわりにはそんなに痛くない。そう思って床を見たけれど、暗くて全く見えなかった。体を起こそうと手を付いて初めて、座布団のようなものが置いてあると分かる。 ……誰がこんなこと? 転ばせたくせに、アフターケアは万全ですか。もしかして隣には救急箱設置してあるんですか。 (というかポマードの使い方を間違えてただけで突き飛ばすってどういうことなの!! 酷い!スパルタ教育か!) 一度憤怒して隣にちらりと視線を移してみたが、やっぱり目は闇に慣れていなくて何も見えなかった。 なんでこんなに暗いのこの部屋。 「うぅ…さっさと出よう……」 暗いとこは苦手だし。 音だけ聞こえる雷が余計怖い。 四つん這いの体を起こして、耳を塞ぎながらさあ出ましょうかと方向転換する寸前、ドアがガチャンと嫌な音を立てた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加