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瞳に映ったのは、薬品棚と扉一つしかない狭い簡素な部屋。
暗幕が窓からの光を完全に遮断しているが、風雨によって少しだけ揺れていた。
「あ、……!ああ………っ」
狭い部屋。
暗い部屋。
狭くて……暗い空間。
それは私が
一番苦手とするものだった。
「や……やだ!誰か!助けて助けて助けて!うぇええ……怖い、怖いよぉ……っ!!」
閉塞感に身体を蝕まれ、呼吸がうまく出来なくなる。頭が痛い。いつもそうで、鈍器で殴られたみたいな痛みが襲ってきて。
しかも毎回変な記憶が頭に流れこんでくる。
「……ひ、ごめんなさ、ごめんなさいごめんなさいごめ…なさい……!外に出なくていいから…っちゃんといい子にしてるから……ッう、ひぐっ」
いつも、鼻の突き出た老婆が鬼のような形相で私を叱る記憶が頭を痛めつけてくる。その痛みと恐怖で私は泣きじゃくりながら謝罪を続けてしまう。
「狭いよ……怖いよぉ………!……私を一人にしないで……っ」
雷や雨の音に混じって、
ドアが開く音がした。
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