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頭を押さえながら泣き喚いて、混乱して、恐怖に身体をガクガクと震えさせている私を
突如温かい体温が包みこんだ。
その瞬間、頭の痛みがフワリと消える。心地よい感覚に安心して、今までとは違う涙が頬を流れた。
「……ぅ、ひっく。う……だれ……?」
後ろから優しく抱き締めてくれている誰かに、問う。
けれど、訊かなくても分かっていたかもしれない…なんとなく。
後から考えれば状況から。
その場では直感で。
「ごめん……ごめんね夏目さん…………ほんと、ごめん…」
罪悪感に満ちた声。
いつも見ていた猫柳くんが、見えない場所にいた。
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