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「猫柳です……本が好きです…?
宜しくお願いします」
変な名前。
それが彼の第一印象。
自己紹介を終えて隣の席に座った時も、なんとも思っていなかった。
むしろ私は自分が何を話すか知恵熱を出すのに必死で、彼のことなんて頭からすぐ抜けていた。
だけど、今は違う。
授業中に堂々と文庫本を開き、静かに読書をする彼を横目で観察するのが私の日課。
本に栞を挟み一つ欠伸をして、机に突っ伏して寝る彼の髪の毛を触りたいのを堪えるのも私の日課。
(ほんと……猫みたいだなあ……。猫っ毛だし)
何のことはない。
私はいつの間にか彼に恋をしてしまっていた。
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