第1話

8/9
前へ
/14ページ
次へ
急に低くなった声。 驚いて、思わず肩が跳ねる。 桜井さんが私の腕を掴んで無理やりそちらに向けさせた。 「お礼もしないで去るとか…とんだ非常識女だな。」 …へ? あれ? 私の耳どうしたんだろう。 きちんと音が聞きとれな--… 「おい。聞いてんのか。吉野春香。」 うん。間違いなく桜井さんの声。 私の耳には問題ないらしい。 ていうか何で私の名前…。 「生徒の情報は全部把握してるから。」 あぁ、そうですか。 って心読まれてるし!! 「んで?もちろんお礼するよね?吉野さん。」 さっきまではあんなにキラキラしていた桜井さんの笑顔も。 今となっては恐怖にしか感じられません。 「お礼って…何をすれば…。」 金よこせ!とか体で払え!とかは絶対無理!! 罰当番の掃除とかなら喜んで引き受けるからぁ!!
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加