一、奇妙な空港とおかしな男

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警備員は何も言わずに立ち上がったかと思うと、床に散らばった小包を見るなり焦ったように拾い集め始めた。 「クッソ・・・なんてことだ・・・・」 ブツブツ言いながらスーツケースに小包を詰め込む。 この様子を見ていた1年D組の1人の女子生徒が警備員があまりにも焦って可哀想だったのか、手伝おうと床に膝をついた。 彼女が小包に手を伸ばすとーーーーー。 「触るなぁっっ!!!」 男が突然、まるで発狂したかのように大声を上げた。 手伝おうとした子はビクッと方を震わせ、怯えたように立ち上がる。 同じ便に乗るらしい客達が、何が起きたのかと周辺に集まってきた。 男はさらに焦って小包を詰め込む。 全てをいれ終わると立ち上がって走り出した。 「邪魔だっ!!どけっ!」 人混みに突っ込んで、邪魔になった人を構わず突き飛ばし【関係者以外立入禁止】と書かれた部屋へ入って行ってしまった。 「なに、アイツ・・・」 「最っ低~」 2人の女子生徒が、さっきの男に怒鳴られた子の所へと駆け寄る。 「大丈夫?佳菜子?」 「だ、大丈夫だよ・・」 「さっきのやつ、今度見かけたらウチらが殴ってやるから!」 急に凛が、鋭い目で辺りを見回す。 「凛、どうしたの?」 声をかけると凛はあたしに顔を寄せて、囁いた。 「なにかおかしい・・・」 「え?なにが?」 「だって、こんな騒ぎがあったのに警備員とか従業員とか受け付けの人が1人も来ないなんて・・・」 確かに考えてみると変だ。 身体検査の係りの人だって、すぐ近くにいるのに見向きもせず黙々と仕事を続けている。 あたしも怪しく思って、受け付けに立っている女性をじ~っと見つめた。 その女性はあたしの視線に気づくと、動揺していますと言わんばかりの勢いで顔を背けた。 「凛、今の見た?」 「うん。明らかにおかしい・・・」 「瑠璃もできるだけ辺りに注意して」 「・・・わかった」
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