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馨と別れて早くも2か月が経とうとしていた。
(うん。大丈夫…。きっと思い出にできる)
今はまだ駄目だけれどきっともう少し時が経てば彼の事を思い出にできるはずだと一華は自分に言い聞かせ彼のいない道を一人歩いていた。
いつからだったけ?
この道を二人で歩かなくなってしまったのは…
前はいつも隣に馨がいた。
付き合い始めて3か月が経った頃から馨は何かと理由をつけて度々いなくて…
浮気をされていると感づいたのはそのころ。
確信に変わったのはそれから更に3か月の時が経過してからだった。
いや、違う。
僕はもっと前から気づいていた。
ただ・・・
気づかない振りをしていただけ…
けれど遂に彼が浮気相手を二人だけの家に連れて来たところに鉢合わせたとき、もうダメなんだと思った。
浮気されてもそばにいてくれるなら、二人の空間を、空気を大切にしてくれるなら。
気持ちを伝えてくれるなら…
僕はそれで満足だったんだ。
ショックで何も言えない僕に目もくれずに素通りして彼は部屋へと知らない誰かと二人で消えた。
少しして聞こえてきたのは、知らない誰かの嬌声とベッドのスプリングの音。
音と声が激しさを増していくのが耐えられず。
たまらず僕は家を飛び出していた。
1時間ほどして1度帰ってみた。
玄関を開けることもなかったけどね。
扉を開けずとも誰かの嬌声は響き聞こえてきた。
おまけにドアが触ってもいないのにガタガタ揺れていて…
ねぇ馨。今どんな表情でこの扉の向こうにいるの?
どんな思いで僕を見ているの?
頭の中でプツリと何かが切れた気がした。
そして僕は何も考えずに飛び出す時に持っていた二人の家の鍵をカシャンとポストに落とすと家から走り去った。
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