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期待して入学した高校は、変わらずくだらなかった。
バカバカしいユウジン作り、自分の居場所を探して這いずり回る奴ばかりで、入学初日から気持ち悪かった。
男はユウジン作り、女も同じか甘い臭いを振りまいて男に媚びていた。
進学校でも同じかと、呆れるばかり。
早々に帰り支度をして、狭苦しく感じる教室から飛び出した瞬間だった、
「君の名前は?」
明るいそれでいてどこか落ち着いた声音が、けして僕の肩には触れず、斜め横から声は振ってきた。
「僕は、相楽 陽司(さがら ようじ)。帰るから、ほっといてくれよ」
「ホームルームくらい居れば?嫌だろうが、義務ってものでしょう。ああ、私の名前は桜井 秋(さくらい しゅう)。親も変な名前付けたと思わない?桜って苗字についてるくせに、秋の漢字を名前に使うんだもの」
一息でそれだけ言うと、彼女は軽やかに笑った。
名前の音だけで、漢字までは判別できないというのに親切な奴だ。というかよく喋る、僕の苦手な人間の種類のようだった。
普通の生徒なら黙って彼女に従っただろう、
僕はもちろん無視をした。
可愛げが無いのは昔からだ。
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