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相原優雨(あいはら ゆう)。
6月生まれの俺に両親は、これ以上ないほど季節感たっぷりな名前を付けてくれやがった。
実を言えば俺は昔、この名前があまり好きではなかった。
理由は単純、女っぽいからだ。
俺自身の体格は平均的な男子のそれだし、顔だって女っぽいと言われたことはない。
けれど、特に小学生から中学生前半の時期。
大体分かるだろ?
その時期は女子より男子の方が成長が遅いから、あくまで男子の平均だった俺は、周りより少し背が高くてボーイッシュな感じの女子と並んでいれば、明らかに小さかった。
それに加えて、『優雨』という女みたいな響きの名前。
「お嬢ちゃん」
何度となく店員やらその辺のババアやらにそう呼ばれた結果、俺はいつしか自分の名前にコンプレックスを抱くようになっていた。
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