プロローグ

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【ヒマジン村】 ここは俺達が住んでいる村だ。その村の大きな広場で、俺は2人で話していた。 「なあ、もう荷物は用意したのか」 そう幼なじみである勇者に呟いた俺はただの村人。もちろん村人に名前なんてない。勇者の幼なじみだからもしかしたらあるかもと思ったが、やっぱり村人は村人だ。 「ん、大丈夫」 長い黒髪の彼女はそう呟いたが、実のところ俺は心配だった。 勇者と言っても俺がいないと何もできない子なのに、明日は魔王を倒しに旅立つのだ。勇者一斉旅立ちといって、各村から勇者が1人ずつ旅立つことになっている。 「それじゃあもう私帰るから」 「おい待てって」 だが俺の言葉が聞こえなかったのか無視したのか、彼女は帰っていった。 「何だよ素っ気ないな」 最後にそう言い残して、俺も帰ることにした。
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