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「鈴村さんは、僕の事好きですか」
「…はぁ?」
アフレコ中のスタジオ。
今は春から始まるアニメのアフレコの真っ最中で、マイクも入っている。
そんな中、杉田は台本にない、アドリブにもならない、自分の意思を問いかけてきた。
「ちょ、杉田。今仕事中だろ、マイク入ってんだぞ」
「鈴村さんは僕を好きですか」
「杉田、」
杉田は俯いて俺の言うことは聞こえて無いように"好きですか"と繰り返す。
「鈴村さん、どうなんですか」
「杉田、やめろよ。仕事に集中しろ」
「鈴村さん!ねぇ!答えてくださいよ!!」
むきになったのか、それともイラついたのか、違うのか。杉田は顔を下げたまま怒鳴った。
杉田とは付き合っている仲で、いわゆる恋人同士なのだ。そんな分かりきってること、言わなくても伝わるだろう。
それより、今は仕事中なのだ。
仕事をしなければ、後に大変な目に遭わなければいけない。
そんなことはごめんだ。
「杉田、いい加減に…」
俺の言葉を聞きたくないという様に杉田は俺の体を壁に叩きつけた。
「いたっ…」
「鈴村さんは、僕の事好きじゃないんですか」
「杉田っ!」
「鈴村さん、この前神谷さんと一緒にいましたよね。あれ、何ですか。何してたんですか?神谷さんと二人っきりで。」
三日前収録終わりに神谷さんと呑みに行った。それの事だろうか。
「あれは…っ!」
「鈴村さんは俺だけのモノなのに!俺以外のやつに何か渡さない!絶対!僕だけでいいんだ!鈴村さんの側にいるのは!僕だけの場所なのに!!」
ーちくん
胸が痛くなった。杉田は俺をモノとしてしか視ていない。自分だけの人形のようにしか思っていない、と
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