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音楽室に向かう七人の耳に、耳障りな音が流れた。
全員の足が同時に止まる。
「ピアノの音……聞こえたよな?」
真中がわくわくした表情で皆に問う。
「ダッタン人の踊り……妙な音域だけど?」
「ダッタン人の踊り? 何それ春子?」
菜穂子は楽曲名を呟いた気弱そうな少女――春子に目を向ける。
その顔は蒼白だ。
恐怖からか口をパクパクと開けている。
沈黙が続くと、また微かにピアノの音が響いてきた。
「確かにそうだね……。とにかく音の聞こえる方に言ってみよう」
葵が率先して歩き出す。
続いて真中が。
その後を仕方がなさそうに茜が追う。
「こっ……こんなものは、誰かが仕掛けた悪戯なりよ。直ぐに暴いてやるなりよ」
金子はそう言うと顔を引き攣らせて歩き出す。
その後を菜穂子と、その腕に縋り付いた桜子が進む。
「はぁ~、夜食たべて良い?」
最後に太田がポップコーンを口に頬張りながら、渋々歩き出した。
目的の音楽室までは大した距離ではなかった。
そこに向かう最中、太田のくちゃくちゃとポップコーンを咀嚼する音だけが響く。
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