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目的の音楽室の前に到着すると、再びピアノの音が響き始め――唐突に止んだ。
まるで、こちらの足音に反応したかのようなタイミングである。
全員が顔を見合わすと、菜穂子と間中がわざとらしくドアの左右に張り付く。
お互い頷くとドアを開けようと手を伸ばし、びくともしない事に驚いた。
「いや、お前ら馬鹿なりか? 普通に夜間は部屋に鍵は掛かっているなりよ」
露骨に馬鹿にしたような金子に、二人は批難の視線を向ける。
すると金子は上着のポケットから鍵の束を取り出した。
わざとらしく見せ付ける顔はしてやったりである。
「用意周到だね金子君! 職員室の物の訳がないから、警備会社のスペアーかな?」
葵の指摘に金子は微妙に片眉をひくつかせた。
まるで見透かしたような内容は、どうやら当たりだったらしい。
「当然だろ! 七不思議を調べに来たのに、そんな馬鹿な事をボクがするものか!」
そう言い放つと鍵を開ける。
それを確認すると、菜穂子と間中は顔を見合わすと、先程の突入シーンのリベンジを始めた。
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