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素早くドアを開くと、二人はスワットの突入シーンさながらに滑り込む。
わざとらしく床で一回転した間中は、腰からモデルガンを取り出した。
菜穂子は何も用意してなかったのか、わざとらしい空手の構えをとる。
七不思議を何かの犯人探しと勘違いしているらしい。
本来は幽霊を怖がるリアクションが正しい姿であろう。
二人の目の前には、やたら目立つグランドピアノがあった。
「………あれ?」
「誰もいねぇーな?」
二人の突入後、残りのメンバーは恐る恐る中を覗く。
室内には生徒用の机と椅子以外はグランドピアノ以外、目につくものは皆無だ。
「やっぱり幽霊?」
桜子は今度は葵にこびりつきながら中を覗いた。
その瞬間、再びピアノが鳴り出す。
桜子は小さい悲鳴を上げてその場で尻餅をついた。
茜は葵の背中に隠れ、金子と太田は抱き合っている。
ピアノの鍵盤が誰もいないのに、メロディーと共に滑らかに動いて行く。
菜穂子と間中はそれを不思議そうに眺めていたが、それは唐突に止んだ。
静寂が室内に訪れる。
しばらくして、葵が背後の茜を連れながらピアノに近付いて行った。
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