真夜中の失踪者

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太田はポップコーンを食べ尽くしたのか、空き袋を逆さにして振りながら声をかける。 その姿に目を移してから、間中は演奏機を弄っていた手を離した。 「駄目だな。てんで動かない。次行こうぜ、次」 そう言って、床において置いたモデルガンを拾い上げると立ち上がった。 「どうしたのかな? それ」 「特注のモデルガンさ。弾丸はカプセル製で聖水入り。お化けには効きそうだろ?」 「相変わらず間中君は凝り性なんだな」 「まあな」 間中はわざとらしくモデルガンを指で回すと、腰の後ろに付けたホルスターに差し込んだ。 わざとらしくガンマンがテンガロンハットを指で上げる仕種を取ってから歩き出す。 「待ってくれよ、俺を置いてかないでくれよ」 太田はリュックからペットボトルと新たな駄菓子を取り出すと、のっしのっしと走り出した。 一団はC棟の廊下を抜けて、D棟へと続く最短の道を選んだ。 階段を降りるとどうしても足音が少し響く。 警備の巡回マップは外れているが、やはり足音が響くのは何故か不安を駆り立てる。 暗闇ならではのマジックと言えよう。 その中で、一際大きい音があった。
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