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女性は恐怖からいきなり走り出した。
暗闇を駆け抜けるように、ただがむしゃらに走る。
だが、足音だけがぴたりとついて来た。
荒い吐息と自分の足音が響く中、何故か忍び寄る足音だけが鮮明に耳に届く。
恐怖に耐え切れなくなった女性は、後ろを振り向いた。
向いた眼前には、赤い眼を輝かす青年の顔があった。
「俺の記憶を……返せ」
その声に女性は絶叫する。
逃げる前に腕を掴まれた。
華奢なような腕に掴まれた腕はびくともしない。
「貴様の……記憶を貰う」
そう言うと、男は女性の頭に顔を近づけた。
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