128人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
その後に続いて、再び煎餅を砕くような音が響く。
誰しもが、太田が我慢出来なくなって煎餅に手を付けたと判断した。
そのまま我慢して先を進む。
しかし、ボキバキと音は続き、床にチンジャオロースまんを落としているのか、何やらベチャベチャッとした音も続く。
流石にマズイと感じて間中は後ろを振り返った。
「いい加減にしとけよ太田? 水は渇くからいいが、食い物を床に零したらばれるぜ?」
暗闇の為にくちゃくちゃと咀嚼する音以外姿は良く見えない。
夜目には慣れて来たが、何やら目の前にプラプラしているものがあるのだけは理解出来た。
「何やってんだ太田?」
手を伸ばすと太田の膨れた足に触れたのが分かった。
そこで間中は疑問に眉を寄せる。
普通に伸ばした手は、本来同じような身長の太田の肩辺りに当たる筈だ。
それなのに触れた感触は足の太股である。
「太田?」
不安そうな間中の声に、ようやく全員が振り返る。
面倒そうに菜穂子は懐中電灯を背後に回す。
「何やってんだよ太田? そろそろ食い物を食うのは止め……」
そこで言葉は途切れた。
最初のコメントを投稿しよう!