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いつのまにか演奏が終わりました。 退場して舞台袖に入ったとたん誰からともなく泣き出しました。 私も例に漏れず泣きました。 皆泣きながら楽器を片づけ、搬入口へもっていきます。泣きながら。 その途中、Kくんがスッと隣に来て、私を笑わせようとし始めたのです。普段自ら人を笑わせようとなんてしないのに。 嬉しかったです。こんなに自分のことを見ていてくれる人がいたんだと。 私の笑顔を見たいと思ってくれてる人がいるんだと。 当時いじめられていた私にはとても大きな出来事でした。 私は人すべてを嫌っていました。その私にKくんは喜びをくれました。 「人を(人間として)好きになる」とはこんなことなのかと思うようになったきっかけでした。
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