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でも、最初は彩乃に電話したり、会いに行ったりしていた。
彩乃も、不登校だからといって私が訪れることを嫌がらない。
学校であった面白かったことや、ある教師の話をしても、彩乃はいつも目を細めて私の話を聞いていてくれた。
そうやって彩乃と会話を交わし続けたが、私は不登校の理由だけはどうしても聞くことが出来なかった。
知ってはいけない気がしたからだ。
今思えば、聞いていればよかった。
そうすれば、今こんな気持ちになることはなかったかもしれないのに。
それなのにあの頃の愚かな自分は、彩乃より新しくできた友達を優先したのだ。
だから、彩乃と話す時間はごく僅かになっていった。
だからなのだろうか。
彩乃は今から1年前、自ら命を絶った。
本当に、後悔した。
もっと話していればよかった、会っていればよかった――ほんの少しだけの勇気を出して「これからは学校に来てほしい」と言えばよかった、と。
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