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***
一週間後
先輩に丁寧にラッピングしたお手製のパウンドケーキを渡した。
「好きです。付き合ってください」
「ごめん。無理。あと、甘いもの嫌いなんだ」
瞬殺。
一人残されたとき、手帳とペンを取り出す。
今ふられた相手の名前に二重線を書き加える。
手帳には、びっしりと男子の名前がリストアップされている。
もちろん、ブサイクは除外されている。
お姉ちゃんが結婚すると聞いた後に作ったリストだ。
お姉ちゃんが初めてを捨てた歳より早く経験したかった。
お姉ちゃんに勝つためにはこれしかない。
そして、これでふられて10人目。
あと何人に告白すれば経験できるんだろう?
お姉ちゃんに勝ちたいだけなのに、なかなかうまくいかない。
包みを開ける。ひとつひとつ切り分けて小分けにしたそれは、ココアとチョコチップを混ぜ込んだもの。
よ
パウンドケーキをひとつつまみ口いっぱいに頬張る。
悲しいことに、それはフワフワなのにしっとりした口あたりで、ほどよい甘さ。
自画自賛する気はないが、かなりいいでき。
「でも、中身見てないのになんで甘いものだと思ったんだろう?」
残ったパウンドケーキはどうしよう。
あいつにやるか。
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