辺境遠征(前編)

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 夕暮れに染まった田舎道を、一台の馬車がゆっくりと通り過ぎて行く。  古びた車輪がガタガタと音を立てる馬車の荷台には、男達が黙って揺られていた。  男たちが身にまとう深い青地の服。その左肩から縦に走るひとすじの赤い帯模様は、次第に明るさを落としていく視界の中でもまだ目立っている。
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