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「一体、いつになったらここから降りられるんだ? また今日も日が暮れちまうじゃねーか……」
男は大きなあくびを一つすると、腕をあげてうーん、と伸びをした。
「長旅はまだ慣れませんかな、ワルト少佐殿?」
涙目を指でこするワルトに声をかけてきたのは、隣に座っていた坊主頭の男だった。男の体はいかにも年長者といった、貫禄のある腹回りをしている。
まだ型くずれもしていない新品の制服に慣れない者が大半の部隊の中で、使いこまれた男の制服はひどくその体になじんでいるようにみえた。
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