辺境遠征(前編)

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「我らの小隊はいつも辺境に派遣されますゆえ、このような旅はわりと毎度のことですよ。もっとも、今回は旅慣れた我々でも少々辛くはありますがね」  坊主頭の男は口ひげをなでながら、得意げにふん、と息をついた。  他の兵士たちは二人の会話を聞いている様子もなく、ただじっと砂まみれの荷台に視線を落としている。
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