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――――。
「おーい、耀」
ある夏の日の昼下がり。丁度帰りのホームルームが終わったところで、周りの生徒たちは各々の予定を消化しに教室を出て行く。
耀もそんなうちの一人だった。ホームルームが終わって荷物を詰め込むと足早に教室を去ろうとする。
そんな時だ。友人の達弥が耀を呼び止めたのは。
耀は、動かしていた足を止め、声のした方向に向き直る。
「――あぁ、達弥か。どうした?」
達弥と呼ばれた少年は、ゆっくりと近づくと、ジェスチャーで近くの椅子を指し示す。
耀は、軽く腕時計を確認すると、荷物を床に置き椅子に座る。
その間に達弥は机を用意し、そこに自分の鞄を置くと仕切りなおすように咳払いをした。
「で、何だ?」
「なぁ耀。お前さ、“@わーるど”って知ってるか?」
@わーるど。輝は暫く考え込むような素振りを見せたが、やがてゆっくりと首を振った。
「いや、知らないな。何かのアニメ? それとも漫画?」
「違う。ゲームだよ、ゲーム」
達弥は机に身を乗り出して目を輝かせた。
「ゲーム? ハードは?」
「パソコン用のゲーム……らしい」
その達弥の言葉に耀は些か疑問を覚える。
「らしいっていうのはどういうことだ?」
「実はさ、定かじゃないんだよ。このゲームがどういうゲームなのか。誰が作ったのか。どうやってプレイするのか」
「何だそりゃ。まぁいいや。それで、そのゲームがどうかしたのか?」
そういうと、達弥は待ってましたといわんばかりに目を輝かせた。
「実はさ、届いたんだよ。そのゲーム……」
「――――@わーるどが」
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