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達弥はスタートからメールソフトを起動させる。
滑らかな動作でカーソルを動かし、未開封のメールをチェックする。差出人は達弥。
中身には引用されたURLが貼り付けられている。
それを確認すると、耀はすぐに携帯を取りだし、手早く操作し耳にあてる。暫くコール音が続くと、やがて向こうから声が聞こえてきた。
『やぁ、耀か。メールはちゃんと届いた?』
「あぁ、届いた。これがそのメールなんだろ? いってるとおり、URLしか貼られていないな」
『そうなんだ。ちなみに差出人のアドレスも不明ね。さぁ、それじゃぁ早速やろうか』
言うまでも無く、輝が達也から受けた「誘い」というのは、このゲームを一緒にプレイすることだった。
耀はパソコンの画面を凝視する。
「本当にこれが……」
『やってみなきゃわからないよ。さぁ、とりあえずは噂通りならまずは、.exeファイルがダウンロードされるはずだ。そこまではまぁ、別々にやっても大丈夫だと思うから、ダウンロードしてみてほしい』
輝は言われたとおりにURLをクリックする。すると、少し画面がブラックアウトしたかと思うと、すぐにファイルがダウンロードされた。
要領はそんなに大きくないようで、ダウンロードは早かった。これぐらいなら、一昔前の2Dオンラインゲームぐらいだろうか。
「達弥、出来たぞ。そっちは?」
『うん、こっちもおーけーだ。それじゃぁいよいよ.exeファイルを開くけど、ここからはカウントする。一緒にやったほうが後で同じ場所からスタートする可能性が高くなるからね。もしこれが本当に噂通りに囚われてしまった時に、遠い場所からスタートだなんて最悪だからね。まぁ、ゲームの内容にもよるけど』
「わかった。じゃぁ、早速カウントしてくれ」
輝は、早く早くと急ぐ気持ちを押し出す。だが、それと同時に不安もあった。
もし本当に囚われてしまったら?
もし戻ってこられなくなったら?
だが、それをも押しのけるほどの期待が耀を支配しつつあった。
――心のどこかでは期待しているのかもしれないなぁ。
輝はゆっくりと深呼吸する。
『おっけー。じゃぁいくよ』
電話越しからも達弥の緊張感が伝わってくる。
『三……二……一……』
――――。
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