プロローグ

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まだ少し肌寒く感じる四月上旬の朝。 俺は、今とてつもなくワクワクしている。 「頼むから、変な事だけはするなよ。」 そう言って、彼は俺に教師からの手紙を押し付ける。 ほほう、これを読めとな。 「失礼な!俺の礼儀作法は天下一だ。」 失礼な事を言ってため息をついてる彼に、取り敢えず舌をだす。 所謂、あっかんべーってヤツだ。 去年…俺も彼も椅子に座り、お偉いさんや生徒会長さんの話しを聞いて居た身。 話しの内容何て覚えちゃーいない。 覚えているのは、只一つ! 酷く、つまらなかった。 歓迎の言葉に心煌めく言葉が無かった。 うん、非常につまんない内容だったさ。 だから、俺はここに居るのだ。 『続きまして、生徒代表として生徒か…失礼、生徒組局長の新入生歓迎の言葉です。』 「呼ばれてんよ。」 「ん。じゃ、行ってくる。」 ニヒッと彼に笑顔を向けると、同じくニッと笑顔が返ってきた。 ステージの真ん中に向かい歩く。 あぁ、ワクワクが止まらない!! ちらりと左を覗くと初々しい新入生達が、首を捻っていた。 それだけで笑みが零れてしまう。 遂に到達した、ステージど真ん中。 正面には、俺を見上げる人の数々。 ここは司会の合図に従い、全員と一緒になって一礼。 うん、普通だね。 俺は、さっそく手に持っていた紙を広げ歓迎の言葉を口にする。 「新入生の皆さん、入学おめでとう御座います。我々、風雲学園在校生徒は皆さんの仲間入りを心より歓迎いたします。」 始まった俺の話し。 至って普通の話しの内容に、身構えていた何人かの教師がホッと息をついたのが目に留まる。 瞬間。 俺は、持っていた紙を上に投げ捨てた。 「初めまして。俺の名前は近藤昴。生徒組局長さ!」 いやー…度肝を抜かれたよね?教師陣。 案の定…教師陣顔が真っ青。 教頭は、顔真っ赤っかだよ。 愉快愉快。 非常に愉快だ。 「みんなさ、つまらない長ーい話しばっかで退屈して疲れた感じ?んじゃ、俺の話しは直ぐ終わらすから。俺がみんなに伝えたい事は只ひとぉーつ!俺が局長で居る限り君たちの学園生活は、わくわくどきどきさせてみせる!ってこと。」 ぽかーんとしている新入生諸君を見て、また勝手に笑みが零れ落ちた。 「みんな、騙されと思って俺に任せみてよ。絶対に楽しめるはずだから。一緒に思い出つくろう!以上!」
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