始まり

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PM7:00 仕事の疲れを目一杯カバンに詰めて見慣れた駅に降り立つ。 そこは自宅の最寄り駅。 この町に来てから 何度この駅に降りただろう。 ポーンとなる電車の終着音。 肩で風をきってすれ違う人々。 せわしない足音。 笑い声。コンクリート。 私は今日も見慣れた景色の中を歩き、私を待つであろう姿を探した。 大きな電子広告版の前に彼を見つけた。これまた見慣れた立ち姿だ。 「葵人。」 自分の名前を呼ぶ声に嬉しそうに笑って歩いてくるのは 桐島葵人(キリシマ アオト)。私の彼氏だ。 「おかえり、直。」 そう言って葵人は私の手を取り、いつもの帰り道を歩き出した。
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