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"有田紗由理"
病室の入口に飾ってあった札を確認すると
コンコン
ドアをノックし中へ入った。
「…紗由?」
紗由の名前を呼びながらベッドの回りにかけられたカーテンを開けると…
紗由の姿はどこにもなくテレビの音だけが小さく鳴っていた。
すると…
病室のドアが開き
「13時からまた検査なので…。」
男の声と車イスの音が聞こえてきた。
「けんたん?」
カーテンが開くと紗由が車イスに乗ったまま俺を見上げてきた。
「…この方が先程話していた彼氏ですか?」
「はいっ。」
紗由は嬉しそうに笑いながら車イスを押していた男を見上げた。
「始めまして。有田さんの担当看護師の田所です。」
そう言うと紗由の膝に掛けられていた膝掛けをとり紗由に手を伸ばしていた。
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