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「あ、もう大丈夫です。」
紗由は手を伸ばしてきた田所と言う男を見上げてそう言うと
「お役御免のようですね。」
田所は笑いながら
「また13時前に迎えに来ますね。」
そう言って病室を出ていった。
状況が良く把握できてない俺は田所が出ていった病室のドアの方を見ていると
「けんたん?」
紗由は不思議そうに俺に見上げていた。
「…今のは?」
「担当看護師の田所さん。今検査に行って帰ってきたの。」
そう言って俺に向かって手を伸ばしてきた。
「…ん?」
手を伸ばしてきた理由が分からずにいると
「…ベッド。」
そう言ってベッドを見てまた俺を見上げてきた。
「…ああ…。」
やっと理解ができた俺は紗由の前で屈むと紗由は俺の首に手を回してきた。
「力入らないから…ゆっくりね?」
紗由の身体に手を回すと俺はゆっくりと紗由を車イスから立たせた。
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