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「…。」
俺の言葉に紗由は少し考えるようにうつ向くと…
「…けんたん。一度お別れしよ。」
そう言って俺の手に自分の手を重ねてきた。
「…紗由。」
「もちろん辛いし…悲しいし…寂しいけど…。今はこれ以上けんたんを苦しめたくないから…。私も一緒に苦しむ。」
紗由は優しい笑みを浮かべたまま俺を見ていた。
「…いつになるか分からないけど…。けんたんの気持ちがハッキリして…自信が持てたら…その時は…。」
紗由は左手の薬指から指輪を外すと…
俺の手の中に落としてきた。
「…だから…待ってるなんて言わないよ。けんたんにいい人が出来るかも知れないし…私に…いい人が出来るかも知れない…。それが選んだ幸せなら…それが答えだから…。」
紗由はずっと笑ってた…
俺のせいで紗由に辛い決断をさせてるのに…
恨み言一つ言わず…
俺の為に笑ってた…。
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