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「…けんたん。私といて幸せだった?」
「あぁ…。」
「私の事…好きだった?」
「…今でもな。」
「良かった。私も幸せだった。今でも大好き。」
紗由はホントに幸せそうな笑みを見せると…
「…ありがとう…けんたん。」
そう言って俺の手に重ねていた手をゆっくり離した。
「…行って…。振り返らずに…。」
紗由はそう言うとうつ向き出した。
…紗由。
俺はゆっくり立ち上がるとその場から動けず…
ただ紗由を見ていると…
「…私なら大丈夫だから。だから…行って…。」
紗由の肩が微かに震え出した。
俺は紗由に背を向けると…
ゆっくり歩き出した。
紗由に言われた通り
振り返らずに
病室を出た。
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