51人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
机の上に散らばるチューブの中から「白」と書かれたものを、陽子が差し出す右手に置く。
「全部使わないでよ」
私の言葉に、わかってるよと陽子は返事をして、すぐにパレットの上に絞りだしていた。
私は頬杖をつきながら、その様子をぼんやりと見ていた。
ふと周りを見渡せば、みんな机を引っ付けあって楽しそうに話している。
真面目に絵を描いている生徒は少なかった。
「ちょっと奈緒、全然進んでないじゃん」
「え?」
陽子が大袈裟に覗きこむ、私の白紙の画用紙。
私も、多数派の一人だった。
最初のコメントを投稿しよう!