世界は唐突に

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机の上に散らばるチューブの中から「白」と書かれたものを、陽子が差し出す右手に置く。 「全部使わないでよ」 私の言葉に、わかってるよと陽子は返事をして、すぐにパレットの上に絞りだしていた。 私は頬杖をつきながら、その様子をぼんやりと見ていた。 ふと周りを見渡せば、みんな机を引っ付けあって楽しそうに話している。 真面目に絵を描いている生徒は少なかった。 「ちょっと奈緒、全然進んでないじゃん」 「え?」 陽子が大袈裟に覗きこむ、私の白紙の画用紙。 私も、多数派の一人だった。
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