世界は唐突に

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放課後はいつも 帰路につく生徒の楽しそうな話し声で溢れかえる。 拘束された時間から解放されて、疲れと嬉しさが入れ交じった話し声が行き交う。 だけど今は、そんなざわついた声も聴こえない。 窓から見えるグラウンドも、いつも走り込んでいる野球部やサッカー部員の姿はなかった。 それに、微かに歌声が聴こえる。 体育館で1年生が歌ってるんだろう。 「絵を描くだけでいいなんて、楽だよね~2年は」 そう言ったのは、陽子だ。 窓から陽子に目を移すと、机の上に置いた画用紙に色を塗っていた。 「あ、白かして」 陽子はそう言って、私と目を合わせた。
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