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3人の行き着いた部屋からは、元気のいい赤ん坊の声が響く。
「あぁ、あなた…。」
「瑠璃、よく頑張った……。」
母親の名は瑠璃と言うらしい。
「お母さん!!」
「男!?女!?」
「「どっち!?」」
「あら、茜に楓汰…。ふふ、男の子よ。」
兄の楓汰と妹の茜の、見事だが騒がしい問いに対しても至って冷静に答える。
「「「やったぁー!!」」」
本当に騒がしい一面である。
「ふぅ。で、親父、母さん。名前は決まってんの?」
ようやく落ち着いた楓汰から、当然とも言える質問が出た。
「「……。」」
「決まってないのね?」
「「…ハイ。」」
「はぁ、まあだいたい予想はしてたけどー。」
名前のことなど全く頭に無かったような両親を見て落胆しない辺りから、この2人は普段からどこか雑なようである。
「おぉ、そうだ。楓汰、茜。」
((完璧に今思いついたな。))
今2人の心が一つになった。
「お前たちがこの子の名を決めてみないか?」
「「え?」」
「いい考えね。2人とも、やってみなさい。」
父親―泰也は突拍子もないことを言い出した。
驚愕する2人を置いて賛同し、推し進める瑠璃。
こうして楓汰と、姉になった茜は、泰也の思い付きで重責を負う羽目になった。
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