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「きみはちがうひとを待っていた、そうだろ?」
「……」返事をした。
「そういう言い方では会話は楽しくならない」
「……」しかたなく返事した。
「なんでだ?」
「……」返事にしては長かった。
「そりゃいいや。最高に気が利いてる」
「……」返事をしなかった。
「ぼくは嫌いだがね」
「……」返事ではなく、表情で示した。
「必要なものが揃っている生活なんて想像したくもないよ。未来にはそんな生活にも耐えられるようになってしまうんだろうか。ああおそろしい」
「……」うつむくならば、なにも見えなかった。
「心配はするな。反省はいわれなくてもするさ」
「……」それは最高の返事に思えた。
はんだごての臭いで頭は冴える。問題ない。ただ思い出していただけだ。とても現実的な夢のことを。
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