タイヤを燃やす青春

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 カラオケ終わったあとのがらがら声で「どこ行く?」「寒う」「いや帰ろうぜ」と男三人が話し合っている。わたしはその後ろから疎外感はまったく感じず、まるで前の三人を他人のようにじろじろ見ながらついていっていた。わたしはこの三人となら、友達だ。カラオケで盛り上がっていたときは心のどこかでそう思えていた。  けれど何かを終えたあとの、熱気のない、余韻に浸るだけのつまらない時間はわたしと三人の男どもとをすみやかに引き離した。中途半端な時間だから電車があるかも怪しい。前の三人はどことも知れず歩いていき、たまにわたしのことも思い出してくれるけど、わたしがさっきのようには話に入ってこないものだから、彼らもそこまで話に入れようとしてこない。わたしは、わたしの友達が「用事がある」とかで帰ったときにわたしも便乗して帰ったほうがよかったのかもしれなかった。  でもふだんと違って、楽しかったんだもの、しかたないだろ。
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