タイヤを燃やす青春

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 釣り具屋も閉まっているし、自転車チェーン店のガラスの向こうも明かりを落として、そこにあるのはつやのありそうな自転車群だけだった。わたしは駅の自転車に、鍵を一つしかつけてないことが遊びはじめてからずっと心配、だけど今は特にその心配が強くわたしの胸に感じられる。 「ここ越えたらなんもなくね」と金本冬樹がいう。「カレー食いに行こう」と何を思ったか新浜功がつぶやく。新浜は三人の中でいちばん疲れをあらわにしているように見えた。 「カレー? どこもあいてないやろ」と金本。 「あ、冷静……」と新浜。輝がそこで笑いを起こしつつ、何かいったようだったが、わたしには聞こえなかった。  橋にさしかかっていた。橋は殺風景で空中にひっそりと、未明の風の吹きっさらし感が半端なかった。その橋に、わたしは三人に渡ってほしくなかった。 「ねえ。川べり行かーん?」  三人にこれからを決めさせることなく、わたしが声をあげて呼びかけたことでわたしが行き先を決めてしまった。でもべつに、三人ともこれいじょう歩きたくなさそうだったし、いい。
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