タイヤを燃やす青春

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 隊列変更でわたしが先頭、なん弱男子三人がわたしの背中にとぼとぼとついてくる。わたしは川べりに、階段を使わずに急勾配でむりやり降りようとするので、ふしぜんな身体の動かし方になる。が、ぶじ川のすぐよこの道に侵入した。金本と輝は従順にわたしにならって降りるが、新浜はわざわざ階段のほうまでいって、そこからゆっくりこっちまでくる、そのゆっくり加減がなぜか優雅に見えてわたしはちょっと笑ってしまう。輝が「おいこらはよこいボケやろうがー」と棒読みでいう。金本がよこでにやにや、「おーう、焦らすねぇ」といっているが、なんのことかよくわからない。  やっときた、新浜。第一声が「おまえらなんで階段使わんと?」だと。わたしは新浜にはつっこみしたことがないので、ただ笑うだけ。輝が「こいつなんなーん」というのがおかしい。 「で、なにするん」  わたしは返事するのを、すこし遅らせて、それからいう。 「うん、とりあえず歩こ」  まじかよーぉ、と新浜が反応することはすでに予想できていた。
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