神崎ルリは砕けない

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神崎瑠璃(ルリ) 私立宮坂高校一年生。 五月の春 桜も散り、若葉が 太陽に照らされる季節。 女子高校生、神崎ルリは、 早速五月病にかかった。 マイナス思考の 根暗である。無理もない。 未だに校内に友達と呼べる人間が居ないのも痛い。 中学時代の無二の親友、 さっちゃんが頭の良い公立高校に進学したのが痛い。 いや、性に無く、 高校デビューをしよう と試みて、 先月の入学式後、 クラスの自己紹介の際。 テレビで見て 自分が面白いと 思ったからやってみた 渾身の一発ギャグが 駄々スベりしたのが 一番痛かった。 いや、寒かった。 寒かったのに 手汗びっしょりである。 その後、見かねて話しかけてきてくれた稀有なクラスメイトに対し、何とか答えようと必死になった結果、 その口から出たのが言葉ではなく、今朝食べたハズの朝食だったのは本人が一番驚いた。 その日からクラスでの呼び名がリトゥーシャになった。 リバースと吐瀉(としゃ)を合わせて作った造語らしい。 響きが可愛いだけに残酷である。愛称はせめて名前を文字って欲しかった。
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