神崎ルリは砕けない

4/4
前へ
/80ページ
次へ
その日の夜。 自分の部屋のベッドで眠りについた神崎ルリは、夢をみた。 顔文字の様な、 雑な作りの顔をした 犬のぬいぐるみ (∪・(Å)・U←こんな顔) が自分の部屋で何かを物色している光景。 「あははっ」 いくら夢だからって、 ぬいぐるみを動かすなんて。 自分にも、意外とファンシーな願望があるのかも、と思った瞬間笑ってしまう。 可笑しい。 夢の中でとはいえ、 こんなに笑ったのは 何年ぶりだろう!? ……嘘である。 そういえば、つい一月前、 テレビの芸人のしょうもない 一発ギャグで笑ってしまっていた。 笑うスパンが一ヶ月置きか…… 間隔開きすぎである。 ていうか、それがリトゥーシャの悲劇の引き金となっているのが痛いなぁ。 と、それよりも今は 目の前にいる、動くぬいぐるみの事が重要である。 夢だというのに 意識が割とハッキリしているし、 思考もクリアだ。 こんな機会も 滅多にないだろうから、 ぬいぐるみに 自分から話しかけてやれ。 そう。 たまには。 夢の中でくらい、 前向きにハジけたかった。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加