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「ねぇ、キミ、私の部屋で何を
探しているの?」
依然として自分の部屋を
物色していたぬいぐるみに、
神崎ルリは話しかけた。
人前ではこうはいかないが、
夢の中、しかも、
ぬいぐるみ相手なら
気負いはしない。
「はっΣ∪゚(Å)゚Uすまん、
起こしてしまったか!」
はいはい、起きてますよ。
―夢の中でだけどね―
「私は神崎ルリ。あなた、名前は?」
現実であれほど苦労した
自己紹介も上手くいった。
(手汗もかいてない!)
「俺の名はミルグ!探偵だ!
∪゚(Å)゚U……いや、探偵ってのは嘘だ。言ってみたかっただけだ。」
嘘の撤回が早すぎる。
ていうか、名前、ミルグって。
犬のミルグ。
↓
ミルグ犬
↓
みるぐいぬ
(反転)
ぬいぐるみ……かぁ
……安易にも程がある。
「ミルグか、良い名前ダネ!」
夢の中で犬のぬいぐるみに
自分が付けた名前。
教室で吐いた私の事を
リトゥーシャって
最初に名付けた人の
ネーミングセンスが、
この時ばかりは
羨ましく感じられた。
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